LPガス設備には、機器・装置の故障、悪使用条件、誤操作、誤使用によって発生する事故を予防・防止するための各種安全装置や安全制御システムが組み込まれています。 特に最近では、ICやマイクロコンピュータを用いたエレクトロニクス技術を応用したより高度で信頼性の高い安全装置・安全制御システムが組み込まれています。

1.供給設備と消費設備の区分

(1) LPガスの設備区分

 LPガスの設備は液化石油ガス法により「供給設備」と「消費設備」に区分されています。供給設備は、LPガス容器からガスメータの出口までのことで、容器交換のつどLPガス販売事業者が点検を行います。
 消費設備は、ガスメータの出口から室内のガス器具までの日ごろ使用する設備のことで、消費者の責任において使用しますが、LPガス販売事業者が定期的に消費者のすべての設備について調査・点検を行います。

 

(2) LPガス設備の所有関係

 LPガス設備の所有関係が不明確なために起きるトラブルを防止するため、法令により供給設備と消費設備の所有権を、LPガス販売事業者と消費者との間で、LPガスの取引条件を記載した「交付書面」に明確に記載することが義務づけられています。
 供給設備は、LPガス販売事業者が所有し消費者に貸し付けているものですが、ただし、消費者が買い取りを希望するときは消費者の所有になります。
 また消費設備には、消費者が所有するものと、LPガス販売事業者が所有し消費者に貸与するものがあります。

■設備区分と所有関係


2.供給設備・供給機器

(1) 容器と容器弁

1.容器 20kgや50kgなどの小・中型容器は、都市ガスの導管と同じ役目を果たすもので、車両などでどこへでも運べるため、供給エリアに制限がありません。この可搬性がLPガスの特徴でもあります。
 LPガス容器は鋼板を成型し、これを溶接して製造されますが、本体上部に容器弁(バルブ)、頂部にプロテクター、底部にスカートが取り付けられているほか、バルブを保護する鋼製ねじ込み式のキャップが付属しています。

2.容器弁(バルブ) バルブは、液状のLPガスを容器に充てんし、ガス状のLPガスを容器から取り出す目的で、どの容器にも取り付けられています。
 安全弁が組み込まれ、火災などによって容器が異常に加熱されると、自動的に安全弁が作動してLPガスを外部に噴出させ、容器の内圧を低下させます。

■容器弁

(2) 調整器

 調整器は、容器の充てんLPガスの圧力が組成・温度・気化量・消費時間・残ガス量などによって変化するのに対応して、消費機器(燃焼器具)が要求する低圧に減圧保持する目的を持つだけでなく、容器の内圧の変化と燃焼器具の消費変化に対応して、常に一定圧力で供給する役割もあります。
 一般的に使われている調整器の本体は、亜鉛ダイカスト製がほとんどで、耐圧・気密性能も基準が定められて、厳しい製造基準と国家検定によって品質が維持されています。

■調整器

(3) LPガスメータ

  ガスを供給する配管系の途中に設置して、通過したガスの体積を計算し、その通過量の積算値を表示する機器が「ガスメータ」です。
 構造は「実測式」と「推測式」に大別され、実測式はメータ内の計量室を基準マスとして実測しながら計量する方式で、推測式はガスが通過するたびに回転する羽根車の回転数を累積推算するなど間接的に測定する方式ですが、現在、LPガス用には実測式で膜式構造のものが多く用いられています。
 このメータにマイコンを内蔵させ、LPガスの異常な流れを感知し自動的に警報を発したり、自動遮断する機能を持たせたのがマイコンメータで、単に計量機能だけでなく、安全機能を持たせた保安機器となっています。

■LPガスメータ

(4) 配管機器材料

1.屋内用閉止料

 屋内用閉止弁(ガス栓)は、配管系のガスの流れをコントロールする役目があります。屋内に取り付けられるガス栓は、消費者が操作してLPガスを使うので極めて重要な機器となります。
 このためガス栓は、十分な気密性など安全性が保証され使いやすいものでなければならず、国家検定品となっています。
 ガス栓関係にはヒューズガス栓、安全アダプター、迅速継手、配管バルブ、金属配管、継手金具付ホース、配管継手などがあります。

2.配管材料

 配管は容器・調整器・ガスメータなどの器具類を連結して、LPガスを消費機器へ通す重要な役割を持つものです。配管用の材料としては多くの種類がありますが、「配管用炭素鋼鋼管」と「圧力配管用炭素鋼鋼管」は、広く用いられる基本的な材料となっています。
 また、これらに被覆など防食処理を施したものとして「被覆管」「塗装管」「プラスチック被覆鋼管」などがあり、埋設部にはこれらの材料が多く使用されています。
 この他にも「ガス用ポリエチレン管」「液化石油ガス配管用フレキ管」「ダクタイル鋳鉄管」「銅管」「高圧配管用継手金具付高圧ホース」「フレキシブルホース」「低圧ゴム管」などの多くの種類があります。
 こうした各種の配管材料から、設置場所に適したものを選定し、腐食などによるガス漏れの防止を図りますが、特に埋設部については注意が必要とされています。

配管機器材料(クリックすると図が表示されます)

(5) 保安機器

1.ガス漏れ警報器

 ガス漏れ警報器は、漏れたLPガスが爆発下限界濃度の100分の1から4分の1の濃度になるまでに検知し、ブザーを鳴らしてガス漏れを知らせます。

2.対震自動ガス遮断器

 容器には転倒防止装置として、チェーンなどによる固定化が義務づけられていますが、容器の転倒によって配管が破損し、容器から直接ガスが噴出する恐れがあります。  これを防止するため、地震時など震度5の振動を感知して、ガスを自動的に遮断するのが耐震自動ガス遮断器です。150〜250ガルで作動を開始し、3秒以内で確実にガス通路を遮断します。

■対震自動ガス遮断器

3.ガス放出防止器

 容器弁の出口に取り付ける自動ガス遮断器で、容器の転倒や配管破損によるガス漏れを防止します。落雪の被害を受けやすい豪雪地帯や地震防災対策強化地域での設置が望まれています。


3.消費設備・消費機器

(1) 消費機器(燃焼機器)の種類

  一般消費者などで使用されている燃焼器具には、多種多様なものがありますが、大別すると「コンロ類」「オーブン類」「レンジ類」「グリル」「炊飯器」「給湯器類」「風呂がま類」「ストーブ類」「空調設備」などがあります。

■ガスファンヒーター

(2) GHP(ガスエンジンヒートポンプ)

 近年の空調分野ではGHPを利用したシステムが普及しつつあります。ヒートポンプは、低温度の熱エネルギーから高温度の熱エネルギーを得る効率の高い装置で、このヒートポンプの圧縮機を駆動させるのにガスエンジンが使われています。
 ガスエンジンは、電気モーターに比べて燃費が安く、他のガソリンエンジンや軽油のエンジンに比べても低公害で効率が高いものになっています。
 特にLPガスは、都市ガス地域外に熱源として利用できるため、郊外の工場、ホテル、オフィス、病院や学校、集合住宅などの空調システムとして導入が活発化してきました。

■GHPの仕組み(冷房の場合)

(3) コージェネレーション

 電力供給面での電源分散化によって、脚光を浴びている熱併給発電システムで、その熱源にLPガスが注目されています。
 燃料電池より実用化しやすい小規模電源方式として、ガスエンジンやガスタービン、またディーゼルエンジンなど内燃機関を原動力として使い、発電と地域冷暖房(空調・給湯)を行います。

■LPガスコージェネレーション

 


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