LPガスといえば、容器であるボンベをイメージする人が多くいます。しかし、使用量が異なる一般の家庭と飲食店などでは供給する方法が違います。また、ミニ都市ガスともいわれるLPガスによる簡易ガスもあり、用途や規模に応じた供給と基準に基づく貯蔵方法がとられています。

1.LPガスの導管供給

(1) LPガスの供給形態

 LPガスの一般家庭用の供給形態としては、一戸建の家屋に50kg容器1〜2本を設置して供給する「戸別供給」が、最も一般的に知られている形態ですが、この他にも70戸未満の集合住宅を対象とした「集合住宅供給」、70戸未満の戸建住宅の「小規模導管供給」、70戸以上の「簡易ガス供給」があります。

■家庭・業務用の供給形態

区分
家庭形態
容器供給方法
気化方式
減圧方式
戸別供給
戸建1軒
10kg、20kg、50kg
1〜2本
自然気化
低 圧
集合供給
(70戸未満)
集合住宅
アパート・マンション
複合店舗
50kg容器、集合装置
自然気化
低 圧
集合供給
(70戸未満)
集合住宅
アパート・マンション
複合店舗
サイフォン付50kg
500kg容器
強制気化
低圧二段減圧
小規模導管供給
(70戸未満)
複数戸建
サイフォン付50kg
500kg容器
強制気化
低圧二段減圧
簡易ガス事業
(70戸以上)
戸建集合住宅等
50kg容器、集合装置
自然気化
低 圧
簡易ガス事業
(70戸以上)
戸建集合住宅等
サイフォン付50kg
500kg容器
タンク(貯蔵)
強制気化
低圧二段減圧

 

(2) 小規模導管供給

 アパートやマンションなどの集合住宅(共同住宅)では、1カ所の供給設備から供給するケースが多くあります。また戸建の家屋でも、戸別供給をせずに数軒、数十軒をまとめて供給する場合もあります。  このようなケースを「小規模導管供給」と呼び、いずれの場合も、供給箇所が70戸を超えない数に限られ、これが70戸を超えると都市ガス供給と同様の「簡易ガス事業」となり、都市ガスを規制している「ガス事業法」の適用を受けます。

(3) 簡易ガス事業

1.簡易ガス事業の定義

 
簡易ガス事業は、ガス事業法によって規定される事業で、「一般の需要に応じ、政令で定める簡易なガス発生設備においてガスを発生させ、導管によりこれを供給する事業であって、一つの団地内におけるガスの供給地点の数が70以上のものをいう」と定義されています。
 この中の「簡易なガス発生設備」(特定ガス発生設備)とは、「高圧ガス保安法または液化石油ガス法に規定する規格または技術上の基準に適合する容器(液化天然ガス用保冷容器を除く)並びに当該容器に付属する気化装置とする」となっています。
 したがって、LPガスなどの容器や気化装置を使用して、地域的にまとまっている70戸以上の消費者に対して、導管により集団供給を行うのが簡易ガス事業となります。

2.供給方法

 現在行われている簡易ガス事業のほとんどは、LPガスを供給しています。供給方式は、小規模導管供給と同じシステムの他に、定置式タンクを設置する方式もあります。


2.貯蔵基準について

(1) LPガスの貯蔵

 貯蔵(ガス発生設備)基準は、基本的に簡易ガス事業に基づきます。ガス発生設備の能力は、供給地点群のガス需要量が最も多いときでも、十分に賄うことができるものでなくてはなりません。
 簡易ガス事業の需要は家庭用が主体であり、ガス需要が最も多いのは一般的に1月から2月で、その中で最も寒い日の夕方5時頃から10時頃の時間です。これらをそれぞれ「ピーク月」「ピーク日」「ピーク時」と考え、貯蔵設備を設定していくことが望ましく、これがすべての基本と関連します。
 また、計画需要家戸数、建物の形態や敷地の広さなどにより、貯蔵およびガス発生装置は大きく変わります。

(2) LPガスの貯蔵基準

 特定ガス工作物ガス発生設備を設置する室(以下、ボンベハウス)の技術上の基準については、法令で詳細に規定されています。

1.ガス発生設備の設置

 許可を受けた場所に設置しますが、急斜面地の場合には崩壊防止の装置が必要です。敷地の境界には、さく・塀などを設けます。
 「特定製造所」の表示を見やすい位置に掲げ、出入口付近には「立入禁止・火気厳禁・非常連絡先」などの表示を行います。  
 また、第一種保安物件および第二種保安物件より所定の保安距離があり、火気を取り扱う設備より8m以上離れていることが必要です。距離がとれないときはその措置を講じます。

2.ボンベハウスの構造

 ボンベハウスの屋根には、不燃性または難燃性の材料で軽量なものを使用します。障壁は離隔距離以内に保安物件がある場合は、所定の障壁構造のものを設置し、扉なども障壁構造にします。
 離隔距離内に保安物件がない場合は、障壁構造とする必要はありませんが、金網ブロックなどの境界さくを周囲に設置する必要があります。建物壁の構造は障壁構造です。

3.ガスの滞留防止

 ガスが漏洩してもボンベハウス内に滞留しないように、換気口を所定の面積以上確保します。
 照明装置など電気設備を設ける場合は、防爆構造とします。また、静電気除去装置と散水消火装置が必要です。

(3) LPガス発生方式の種類

1.自然気化方式… 容器に充てんされたLPガスの発生能力は、ガスの組成・気温および容器内の残液量によって異なりますが、一般的に自動切替調整器を設置し、自然気化ガスを発生させます。小規模のガス発生に適しています。

2.強制気化方式…  LPガス容器・貯槽またはバルク貯槽に充てんされている液状のLPガスを気化装置に導き、強制的にガス化(蒸発)させます。

3.貯蔵による特定ガス発生装置  ガスの供給地点が多く、また、ガス需要量が多い場合などの条件に対応し、ガスの供給の安定を図るためのガス発生装置として「貯槽」(ストレージタンク)を使用することがあります。  ストレージタンクには地上型と地下型および半地下型があり、ボンベハウスは使用しません。ただし、基本的に技術上の基準などは準用されます。このガス発生設備は大規模ガス発生設備に適しています。

4.大型容器による強制気化方式  一般的に「バルク供給」と呼ばれるもので、貯槽による特定ガス発生装置の小規模供給に設備されます。

5.貯槽による強制気化方式… 貯槽による特定ガス発生装置の小規模供給に設備されるもので、ストレージタンクの地上型です。

■貯蔵・発生設備


 

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